I 土地やマンションなどの売買に関するもの 【その1 物件に関する説明などのトラブル】 Q1 「ジュウセツ:重説」という言葉を宅建業者さんから聞きましたがどういう意味ですか? A1 宅建業者は、宅地・建物の売買・交換・賃貸等の相手方等、取引の当事者に対して、契約が成立するまでの間に、 取引をしようとしている物件や取引条件など一定の重要な事項について、それらを記載した書面を交付し、 取引主任者をして説明させなければなりません(宅建業法35条1項、2項)。この重要事項の説明やそれを記載した書面(重要事項説明書)のことを略して「重説」と言うことがあります。 Q2 戸建て住宅を買う契約をしました。その時に、媒介(仲介)業者から重要事項説明を受けましたが、 どういうものか理解できませんでした。考え直してみたら気に入らない物件なので、契約を解除したいと思いますが。 A2 媒介業者の重要事項説明の内容が十分理解でないまま契約したとしても、後で気に入らない点があるからといって、 契約を解除することはできません。媒介業者の説明に不備があり重要事項説明が正しく行われていない場合等を除いては、 手付金を放棄して解除することになると思われます。重要事項説明の際には、わからない点については十分に確認することが必要です。 その上で「買うか、買わないか」の判断を行い、契約を締結することが大切です。
なお、契約の解除・取消しには1.法律の規定に基づいた解除(1)クーリング・オフ制度、(2)契約違反による解除、(3)瑕疵担保責任による解除、(4)消費者契約法による契約の取消し、2.手付放棄による解除、3.話合いによる契約の解除(合意解除)、4.錯誤や詐欺による契約の取消し等があります。 Q3 新築マンションを買う契約をする時に、 売主のマンション業者から重要事項説明書を渡され読んでおくようにいわれただけで、説明はしてくれませんでした。 周辺の環境が悪く、業者の責任を問いたいのですが。 A3 宅建業者が契約前に取引主任者をして重要事項を説明することは業者の責務であり、これを行っていないことは、 宅建業法違反となります。
また、工場のばい煙や臭気等の環境に関するものは「環境瑕疵」といわれトラブルになることがあります。宅建業者には「契約の締結の判断に影響を及ぼす事項」について、「重要な事項」として説明する義務がありますので、その環境に関する事項がこれに該当する場合は、説明をしなかった宅建業者に責任を追及することができます。 Q4 新築マンションを買う契約をする時に、売主のマンション業者が隣地の建築計画を説明してくれませんでした。 3階の私の部屋の採光・通風は大いに影響を受けることが確実です、業者の責任を問えないでしょうか。 A4 隣地の建築計画などは、買主にとって大きな関心事であり重要な判断要素です。 マンションの売主業者はこれらの事項について説明義務を負っているといえます。隣接地の建設計画等について知っている場合だけでなく、 建築計画に関する標識等により容易に調査することができる場合も説明義務を負います。 業者がこれを怠っていた場合にはその責任を追及することができます。 Q5 気に入った物件があったので購入を検討していますが、現在の自宅から媒介(仲介)業者や物件が遠距離のため、 出向く時間が取れません。重要事項説明書を郵送でやり取りしてはいけないのでしょうか。 A5 宅建業者が宅地・建物の取引を行う場合には、宅地建物取引主任者をして、取引主任者証を提示させ、 重要事項説明書およびその添付資料により取引の相手方に説明すること等が義務づけられています(宅建業法35条1項、2項)。
宅地・建物の取得は価格も高額となることもあり、失敗は許されませんから、遠距離であっても、宅建業者と会って説明を受けた上で、 契約を締結してください。 Q6 宅地建物取引主任者って誰のことですか? A6 宅地建物取引主任者とは、宅地建物取引主任者試験に合格し、都道府県知事の登録を受け、 宅地建物取引主任者証の交付を受けた者のことをいいます。通常は縮めて「宅建主任者」、「主任者」などと呼びます。 宅地建物取引主任者は、取引の当事者に対する重要事項の説明、 重要事項説明書や宅建業法37条の規定に基づく書面(契約書)の内容確認と記名押印の事務を行うことができるとされています。 Q7 住宅を建てるつもりで買った宅地が都市計画道路の予定地にかかっているようです。 どうすれば契約を解除し、払ったお金を取り戻すことができますか? A7 宅建業者の媒介により土地を購入されたのであれば、事前に重要事項説明を受けられたと思います。 重要事項説明書には都市計画道路について何も記載されていませんか。もし、記載・説明がされていない場合は、 媒介(仲介)した宅建業者は重要事項説明義務に違反することになりますので、媒介業者の責任を追及することができます。売主との関係では、 瑕疵担保責任の問題になりますが、媒介業者から説明を受けていたのであれば、責任を問うことはできません。
物件に「隠れた瑕疵」があるとき、買主は「契約の目的を達することができない場合」に限り契約を解除することができます。 Q8 住宅を建てるつもりで買った宅地が市街化調整区域内の土地で、家は建たないと市役所の人から言われました。 媒介(仲介)業者からそんなことは聞いていませんでした。契約を解除したいのですが。 A8 市街化調整区域内の土地は、原則として住宅を建築することはできません。 媒介(仲介)業者は、重要事項説明において「住宅を建築することはできない」ことを説明しなければなりませんが、 重要事項説明は受けていませんか。住宅を建てる目的でこの土地を購入したにもかかわらず住宅が建てられず、 建てられないことを売主や媒介業者が説明していないのであれば、契約を解除することは可能でしょう。 Q9 公道に非常に細長い通路で接している宅地を買いました。ちゃんと家が建つのでしょうか? A9 ご質問の土地は「路地状敷地(ろじじょうしきち)」といわれるものですが、 原則として、土地は建築基準法上の道路に2m以上接していなければ建物を建てることはできませんので、 まずその路地状の部分の幅員が2m以上あるのかを確認してください。この路地状敷地については、 「路地状の部分の長さと幅員の関係」を条例で規制している場合がありますので、地方公共団体の窓口で確認してください。 Q10 前面道路は「ニコウドウロ:2項道路」と言われました。はじめて聞いた言葉ですが、どういう道路ですか? A10 建築基準法第3章の第42条第2項に規定された道路のことです。一般に「2項道路」といわれ、この建築基準法第3章の規定が適用されたときに、 既に建築物が建ち並んでいた幅員4m(特定行政庁が指定する区域においては6m)未満の道で、特定行政庁が指定した「みなし道路」のことです。
原則として現在の道路の中心線からそれぞれ2m(特定行政庁が指定する区域においては3m)ずつ後退させた線が道路の境界線とみなされ、 後退した部分(セットバック部分)には、建築物を建築することはもちろん、門、塀等も築造することはできません。 Q11 新築マンションを購入する契約をして、完成した部屋を見ましたが、 南側にある建物のせいで午後早くから日が当たらなくなってしまいます。「日当たりは十分です」との説明を聞いて契約したのだから、 契約を解除できると思うのですが? A11 宅建業法では、将来の環境等の利便について誤解されるような断定的な判断の提供をすることを禁止しています。しかし、 ご質問にある「日当たりは十分です」という営業のセールストークだけを捕らえて、 この断定的判断の提供に当たるかどうかを判断することは困難です。
契約をする前に現地を確認されたことと思いますが、南側の建物は、契約の時点ですでに存在している建物ですので、 ある程度日照が妨げられることは現地の確認により容易に推察することができたのではないでしょうか。 「重要事項説明書」にどのように記載され説明されたのかが問題になるでしょう。契約の解除ができるか否かは、 契約締結までの事情等が総合的に判断されることになると思われます。
Q12 宅建業者が出した広告を見て、市街化調整区域内の格安の土地を買いました。広告では家庭菜園向きの土地で、コンテナハウスやトレーラーハウスなど可能と記してありました。ちゃんとした別荘を建てるのは無理かなという疑いも多少持ちましたが、問題はないだろうと思い契約しました。ところが、役所に聞くと別荘は建てられないとのことなので、解約し、返金もしてもらいたいと思いますが可能でしょうか。 A12 市街化調整区域内では、原則として別荘等の建築物は建築できません。これをもとに売主業者が、その土地は「宅地ではない」から宅建業法の適用がないと主張して、業法所管部局の指導や介入を拒むこともありますが、お話の状況からするとやはり「宅地」に当たると思われます。コンテナハウスやトレーラーハウスは、建築基準法上の建築物に該当すると判断されることもあり、その場合は立派な宅地であって、しかも市街化調整区域内で原則的にそれらが建てられないことになります。別荘を建てる目的で土地を購入したにもかかわらず、その目的が達成できず、別荘が建てられないことを、売主である宅建業者が重要事項説明書に記載し説明していないのであれば、契約を解除し、支払金を返してもらうことは可能でしょう。 Q13 マンションの購入を考えているのですが、耐震問題が心配です。中古の場合は耐震診断が行われているのかどうか、新築の場合でも確認検査機関はどこでどんな会社だったのかなど、売主や媒介(仲介)業者に説明してもらえるのでしょうか。 A13 宅建業者には、①売主(所有者)や管理組合などが、建物(昭和56年6月1日以降に新築工事に着手したものは除かれます)について、建築物の耐震改修促進法の技術上の指針となるべき事項に基づいて、指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関または地方公共団体が行う耐震診断を受けているかどうかを調査し、②耐震診断が行われているときはその内容を、買主に説明することが義務付けられています。確認検査機関に関する説明については宅建業法上の規定はありませんが、説明がなければ、売主や媒介業者に対して自ら説明を求めることも必要です。そのほかにも不安な点があれば、契約の前に納得のいく説明を受けておくことが大切です。
Q14 買った中古マンションの住民に、廊下などで大きな声を昼夜問わず上げている人がいます。他の住民に文句をつけ、中傷しています。知ったのは入居後です。媒介業者は、個人情報保護法違反になるから言えなかった、と言っていますが、本当でしょうか。 A14 宅建業法では、「取引の判断に重要な影響を及ぼすこととなる重要な事項」については、説明することを義務付けています。説明義務のある重要な事項は、法令に基づく説明事項ですので、個人情報保護法の問題とはなりません。
本件が重要な事項として説明義務のある事項であるかどうかは、迷惑行為の程度、状況などの事実関係を総合的に判断する必要があります。
そのことが売主の売却理由であったり、管理組合の総会等でも議題として取り上げられ、その対応が協議されているなどの事実がある様な場合は、媒介業者には重要な事項として説明義務が生じることになります。 【その2 物件そのものの問題】 Q15 買ったばかりの新築マンションの敷地は以前鉄工所だったそうです。小さな公園もありますが、 そういう土壌のところで子供を遊ばせても大丈夫でしょうか? 敏感な子供なので、解約も考えています。 A15 以前鉄工所として利用されていた土地ということですので、土壌が汚染されていた可能性は否定できませんが、 このような土地にマンションを建築する際、分譲会社は事前に土壌調査を実施しているものと思われます。 分譲会社または販売会社に尋ねて状況を確認してください。 マンションの敷地が汚染物質等により汚染されている場合は「瑕疵担保責任」の問題となります。
Q16 5歳の子供がシックハウスにとても敏感だと医者から言われました。私は平気ですが、 子供が時々息苦しい様子をしていることがあります。買ったばかりのマンションですが、出て行かなくては、と思います。 購入代金は戻ってきますか? A16 建築基準法では、化学物質の発散による衛生上の支障がないように建築建材や換気設備について規制していますが、 その原因が十分に解明されていないこと等もあり、建築基準法の規制を遵守して建築された建物においてでも、発症する人がいるようです。
シックハウスについては裁判で争われることもありますが、大変難しい裁判になることが多いようです。まず売主等と話し合ってみてください。 話合いによる解決ができなければ、最終的には裁判所の判断を求めることになりますので、弁護士さんにご相談下さい。 Q17 築32年の店舗併用住宅を購入する予定です。アスベストが使われているらしいので、 売主や媒介(仲介)業者にそのことを確かめたいのですが、どうすればよいでしょうか? A17 平成18年国土交通省令第9号(平成18年3月13日公布、同年4月24日施行)により宅建業法の施行規則が改正され、 建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を重要事項説明書に記載するとともに説明することとされました。 アスベストの使用の有無については、媒介業者を通して売主に設計図書等があればそれに基づいて説明を受けることができます。
アスベストの基本的な知識については国・行政機関から公表されている「アスベストQ&A」等を参考にしてください。 Q18 購入契約をし、引渡しをまだ受けていないマンションの耐震上の安全性が不安です。 すでに支払った手付金を返してもらって契約を解除したいのですが、可能でしょうか。 A18 耐震上の安全性に対して不安があるということだけでは、ご質問の方法での契約の解除はできません。不安があるのであれば、 売主に説明を求め、そのうえで、契約の継続をするか契約の解除をするかの判断をすることになります。 契約の解除についてはQ2を参照してください。 Q19 中古のマンションを買いましたが、耐震強度が基準の7割しかない物件だと新聞にでていました。 私は住みたくないので売主に買戻しを求めたいのですが、可能でしょうか? A19 耐震強度が基準の7割しかないということであれば、「隠れた瑕疵」があると考えることができます。「隠れた瑕疵」とは、 買主が瑕疵を知らずまたは知りえなかった瑕疵をいいます。また、瑕疵担保責任を追及するにあたっては1.売買の目的物に瑕疵があり、 2.その瑕疵が「隠れたるもの」であり、さらに3.その「瑕疵」が契約締結時に存在していたことが必要です。 引渡し後に発生原因のある後発的な瑕疵や耐用年数切れ等については、瑕疵担保責任は問えないことになります。
そして、売買の目的物に「隠れた瑕疵」があり、買主が契約の目的を達成できない場合には、 買主は売主に対して契約の解除および損害賠償の請求ができます。 Q20 3年前に新築のマンションを買いました。震度4くらいの地震でも非常に大きく揺れる気がするのですが、 どうしたらよいでしょうか? A20 建築物の揺れは、人それぞれの感じ方や建物の構法(耐震・免震・制震構法等)によっても違いますが、 ご心配の向きが建物の安全性に対する不安ということであれば、まず売主に対して耐震性について確認してください。なお、 昭和56年6月1日以降の建築物は新耐震基準を満たした建築物で、それ以前の建築物と比べ耐震性が高くなっています。
Q21 築5年の戸建て住宅を買う契約をしました。容積率・建ぺい率違反の物件ということは知っていましたが、 周りも同じような戸建住宅ばかりですし、安心していました。ですが、銀行が融資してくれません。どうすればいいでしょうか? A21 法令に違反して建築された建物は、担保価値等の問題で一般に金融機関では融資をしません。 購入するためには自己資金で購入することになるでしょう。また建築基準法その他の法令によって建物の建築または再建築が制限されている物件は、 欠点のない物件に比べ価格が安いのが通常です。また、次回売却をするときには、そのことを買主に告げる必要があります。 このような物件については十二分な注意を持って購入の意思決定をしてください。なお、契約において金融機関の融資を受けるような場合は、 ローン特約を付けましょう。融資が受けられなくなった場合契約を解除することができます。 Q22 父が、建築基準法違反の建物と土地の売買契約を15年前に結んで、ずっと住んでいましたが、最近亡くなり、私が相続しました。こんな建物を売った売主業者に対して損害賠償を求めたいのですが、どうすればよいでしょうか。 A22 取得した土地建物に「隠れた瑕疵」があったときは、売主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。
しかし、平成13年11月27日、最高裁判所は、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権は引越しから10年で消滅時効にかかるとの判断を示しました。本件は、取得してから10年以上が経過していますので、法律上の請求は請求はできないと思われます。 Q23 5年ほど前に父が買った比較的広い敷地の住宅がありますが、今度遺産分割することになりました。その際、面積が不足していることがわかりましたが、元の売主に聞いたら、公簿売買だと言います。公簿売買ってなんですか。 A23 公簿売買とは、売買契約に当たり、土地・建物の登記簿の表示面積により売買代金を確定し、後に実測した面積との間で差が生じても代金を清算しない契約方式のことをいいます。これに対して、実測面積により売買代金を確定させる契約方式を実測売買といいますが、個人の住宅地のような取引においては、売主、買主双方の公平を期するためにも実測売買の方が望ましいといえます。本件の取引が実際に公簿売買であったかどうかは売買契約書の条項により確認することになるでしょう。
なお、売主が数量を指示して売買した(一定の面積があることを売主が契約において表示し、その数量を基準にして売買代金が算出された)場合に、その数量が不足し、買主がその不足を知らなかったときには、買主は代金の減額要求、損害賠償請求、契約の解除(残存部分だけなら買わなかったであろうとき)ができます(民法565条)。
また、売買契約書に「すべて面積は公簿による」との条項があった事案で、買主が実測面積に感心を持っていたことが認定されて、公簿面積より5%強小さかった土地について、売買契約の6年後に代金の減額請求が認められた事例(最判平成13年11月22日)があります。
Q24 築25年の中古戸建て住宅を買いました。根太(ねだ=床板の下に渡した横材のこと)が腐っている状態でした。 現状有姿(げんじょうゆうし)とか現況有姿(げんきょうゆうし)とか言われて、後で文句は言えないと言われましたが、売主や媒介(仲介)業者に賠償金を払ってもらうことはできるでしょうか A24 現状(況)有姿は、引渡しまでに目的物の状況に変化があったとしても、 売主は引渡し時の状況のままで引き渡す債務を負担しているにすぎないという趣旨で用いられることが多いのですが、 単に現状(況)有姿との記載があるからといって、これをもって直ちに売主の瑕疵担保責任の免責に合意があるとはいえません。
この質問も瑕疵担保責任の問題です。売主への責任の追求についてはQ19を参考にしてください。
媒介業者は、不動産取引の専門家として建物等のチェックポイントを知っているはずであり、容易に発見可能な瑕疵について、 調査不備により発見できなかったとか、瑕疵があることを知っていて告げなかった場合には説明義務違反があり、 買主に対して損害賠償責任を負うことになるでしょう。 Q25 不動産業者から新築住宅を購入したばかりですが、先日の台風で雨漏りが見つかりました。瑕疵担保責任は請求できるのでしょうか A25 新築住宅の場合、「住宅の品質確保と促進等に関する法律」(略称:品確法)により、売主は、引渡しの日から10年間、住宅の基本構造部分(住宅の構造耐力に主要な部分または雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの)について、瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。したがって、購入したばかりの住宅の雨漏りは、当然に宅建業者である売主に請求できます。 Q26 駅に近いマンションの一室を持ち、住居として使用しています。事務所の部屋もありますが、最近、ある部屋の借主がマッサージ店を始め、表に看板も出しました。イメージが悪いので、営業をやめてほしいのですができるでしょうか。 A26 まずマンションの、管理組合を通じ管理規約上マッサージ店の営業が許されているかどうか確認をして下さい。当該営業が部屋の用途違反にあたるのであれば違反行為の差し止め請求が可能です。理事会や管理会社に相談してみましょう。 Q27 中古の戸建て住宅の跡地を買い、建売をします。現在は下水道がありますが、以前は浄化槽だったので、その槽を半分壊して埋めた状態にしています。これについて将来瑕疵担保責任を問われる可能性があるでしょうか。 A27 「瑕疵」があるとは、取引の概念からみて売買の目的物に何らかの欠陥があることを意味します。また、買主が取引上一般に要求される程度の注意をしても発見できないような瑕疵、あるいは、目的物に瑕疵のあることを知らず、かつ、知らないことに過失のないような場合の瑕疵を「隠れた瑕疵」といいます。ご質問の地下に埋まっている状態は瑕疵がある状態といえ、将来瑕疵担保責任を問われる可能性があります。埋設物を完全に除去した状態で契約することが望ましいといえます。浄化槽を埋めたままで売却するのであれば、埋設物について位置図面等を添付し重要事項として説明する必要があります。 【その3 契約の履行や解除等に関する問題】 Q28 マンションの購入申込みを行い、申込金を支払いましたが、こちらの都合でキャンセルをしたいと考えています、 申込金は戻ってくるでしょうか。 A28 宅建業法では、宅建業者は取引の相手方が申込みの撤回を行った場合は、 受領した預り金を返還しなければならないと規定しています(宅建業法47条の2第3項)。 購入申込みに際して支払った「申込金」は、物件の購入の意思を示すため等に支払った預り金ですので、 自己都合によるキャンセルであっても返還されます。
契約の締結前に支払う金銭がある場合は、その金銭を支払う理由と取り扱いについて、 売主や媒介(仲介)業者に確認をしてから支払うように注意しましょう。
Q29 土地建物の売買契約をして、手付けを入れました。契約日から1か月が経つと、手付解除はできない、という契約になっていますが、こういう契約は許されるのでしょうか。 A29 民法557条1項の手付けの規定は任意規定であり、一定期日を過ぎると手付解除ができないとする手付解除期日の特約を設けることはできます。しかし、売主が宅建業者の場合は、その手付けがいかなる性質のものであっても、解約手付とみなされ、相手方が履行の着手をするまでは、当該契約を手付解除することができます。また、これに反する特約で、買主に不利なものは無効となります(宅建業法39条)。
なお、「売主(業者)および買主は、相手方が契約の履行に着手をするまで、または所定の期日までは手付解除できる」旨の特約が付された売買契約が締結された事案で、買主は、売主が履行に着手するまでか所定の期日までのいずれか遅い時期までは手付解除できるとして、売主が所定(手付解除)の期日到来前に「履行に着手」した場合であっても、買主の手付解除を認めた裁判例(名古屋高判平成13年3月29日)があります。
Q30 マンションの購入契約をし、引渡しはまだ受けていませんが、地方に転勤が決まったために当分住めないことがはっきりしました。契約を解除し、手付金を返してもらうことができますか。 A30 転勤のために契約を解除する場合は、自己都合になるため、差し入れている手付金を放棄することになります(手付解除)。 仮に、売主が所有権移転のための登記申請などの「履行の着手」を行っている場合は手付解除はできませんので、 「違約金」を支払って契約を解除することになります。
自己都合による契約解除となれば、それなりのペナルティーを負うことになります。契約を締結するときは慎重に行いたいものです。
Q31 「建築条件付土地」と書いてある広告を見ました。「建築条件付土地の売買」とはど ういうものですか? A31 土地の売買契約を締結するに当たって、 その土地の売主が自己または自己の指定する建築業者と一定期間内に建物の建築請負契約を結ぶことを条件とすることをいいます。
建物の建築請負契約が締結に至らなかった場合には、土地の売買契約は無条件で解除されます。
「建築条件付土地売買」契約を締結するときの注意点としては、1.一定の期間内に建物の建築工事請負契約を締結することを条件とすること、 2. 1.の請負契約を締結しなかったとき、または建築しないことが確定したときは、 本売買契約は解除になること、3. 2.により本売買契約が解除となったときは、 売主はすでに受領している手付金等の金員全額を買主に返還することおよび売主は本件契約の解除を理由として買主に損害賠償または違約金の請求はできないこと、 などが土地売買契約書に条件として約定されていることを確認しておきましょう。 Q32 建築条件付土地の売買契約をしましたが、建物の間取りが気に入らず、請負契約にまでは至りませんでした。しかし、不動産業者から設計料を請求されています。私から設計を頼んだ覚えはないのに、必要経費として支払わなければならないのでしょうか A32 建築条件付土地売買契約の場合、一定期間内に建物の建築請負契約が締結されなければ、土地の売買契約は無条件で解除されますので、設計料等の支払い義務もありません。 Q33 自分の持っている家を売る契約をしましたが、その契約金額よりも高く買うという別の人が現れました。 契約を解除することはできますか。 A33 基本的に、当事者間で特段の定めがなければ、手付は解約手付とされ、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは買主は「手付放棄」、 売主は「手付倍返し」をして契約の解除をすることができます。
あなたの契約の場合、手付金の授受がされている段階であれば「手付倍返し」による解除となりますが、 買主側が売買代金と引き換えに物件の引渡しを求めたり、中間金の支払いがされているなど、 「履行の着手」が行われている段階であれば、契約条項にしたがい、「契約違反」による「違約金」を支払って解除をするになります。
自己都合による契約解除となれば、ペナルティーを負うことになります。契約を締結するときは慎重に行いたいものです。 Q34 ローン特約とはどういうものですか? 私はローンが一部しか借りられなかったので、 マンションの購入契約を解除するつもりですが、媒介(仲介)業者から手付金は返せないと言われて困っています。 A34 ローン特約とは、不動産を購入するに当たって、買主が売買代金を金融機関などからの融資を利用することを前提に売買契約を締結し、 融資の全部または一部について承認が得られなかった場合には、その売買契約を無条件で白紙解除(解除条件)したり、 契約を解除することができる(解除権の留保)との条件を約定することをいいます。この場合、手付解除や契約違反などの解除の適用はされず、 支払済の手付金は買主に返還されます。
「ローン特約」を付けるときは、1.融資申込金融機関、2.融資金額、3.融資が承認されるまでの期間、4.融資が承認されなかった場合の対応策、 などの設定を明確にして約定することに注意が必要です。
あなたの契約が、「ローン特約条項」によって契約の解除がされるのであれば、売主は手付金を返還しなければならず、 媒介業者は買主に対して手付金が返還できないと主張することはできません。
Q35 2500万円の土地付き建物を買う契約をしました。ローンが2000万円、500万円は全額父に出してもらう予定でしたが、父から断られました。銀行に行くと、2500万円全部ローンを出してもいいと言われましたが、2000万円のローンでも生活がきついので、断りました。ローン特約で白紙解約できますか。 A35 ローン特約とは、ローン不成立の場合には契約を無条件で白紙に戻すことを当事者間で合意するものです。ご質問の場合は、ローンが不成立になったわけではないのでローン特約による解除はできません。資金計画は、購入資金以外の諸費用を含め、契約前に充分に検討しておくことが必要です。
Q36 ローン特約付きで土地建物を買いました。金融機関欄は「A銀行、B銀行等」とあります。A銀行に断られたので解約するといいましたが、媒介業者は、B銀行に行け、それでもダメならノンバンクに申込みに行けと言っています。どうしたらいいでしょうか。 A36 売買契約書のローン条項の申込金融機関欄に「B銀行」も記載されているのであれば、B銀行にも申込みを行わなければならないでしょう。ただし、ノンバンクについては、銀行とは金利等の融資条件も異なるでしょうから、「銀行等」には含まれないと考えられますので、契約書に具体的な記載がなければ申込みを行う必要はないと思われます。
いずれにしても、融資を利用する場合には、金融機関名を具体的に特定して重要事項説明書や売買契約書に明記しておくことが大切です。
Q37 「○○銀行等でローンがつかなければ白紙解約」の特約付きで戸建て住宅を販売しています。今度の買主は、銀行ではローンを断られました。しかし、あるノンバンクではOKの可能性があります。銀行とは利率が違うので「銀行等」には含まれないという人もいますが、そのノンバンクは「固定10年 4%台半ば」で、銀行と条件が違い過ぎるともいえません。その買主は本当は別の理由があるのにローン白紙にしておこうという風に思われるので、「このノンバンクに行って申し込みしないと手付没収」と言ってよいでしょうか。 A37 宅建業者としては、買主が融資を利用する場合には、契約後にトラブルのないように、金融機関名・取扱支店名、融資金額等を事前に明確にしておく必要があります。融資の申込先を「○○銀行等」としているのであれば、金融機関は「銀行」に類するものに限られると考えるのが自然であり、条件があまり違わないとしても、ノンバンクがそれに含まれるとするには疑問があります。
Q38 現在一戸建て住宅を持ち、そこに住んでいますが、都心のマンションを買って住むつもりです。マンションの購入費の一部に、今の家の売却代金を充てる必要がありますが、もし売れなかったらという不安もあります。どうすればよいでしょうか。 A38 手持物件を処分した売却代金(全部又は一部)で新しい住宅を購入する「買換え」のとき、①手持物件を処分してから、新規物件を購入する(売り先行)、②手持物件を処分する前に新規物件を購入する(買い先行)場合の2つの方法があります。②の売却ができていない、つまり資金の確保ができていない状態で購入の契約をすることは、大きなリスクを負うことになります。①の手持物件を処分して、一時賃貸住宅に仮住まいをしてでも、購入代金を確保した上で、腰をすえて希望のマンションを探したほうがよいでしょう。
どうしても、手持物件を処分する前に購入の契約をするときは、「手持物件が売却できなかったときには、契約を解除できる(又は契約は消滅する)」とする特約(「買換え特約」:「不動産売買の手引」も参照してください)をつけてもらってください。 Q39 まだ完成していないマンションを購入する契約をしましたが、不動産会社の担当者の対応が悪く、 いやになってきました。契約を解除し、手付金を返してもらいたいのですが。 A39 売買契約が有効に成立しているのであれば、不動産会社の担当者の態度が悪いことを理由に契約の解除を行うことは難しいでしょう。 売主は買主であるあなたの自己都合による「手付放棄」による契約解除を主張する可能性が高いと思われます。
その担当者によって契約の履行に支障をきたすなどの問題が生じているのであれば、不動産会社に相談して、担当者を代えてもらうなどの対策を考えてみてはどうでしょう。
Q40 マンションの売買契約を結びましたが、自己都合で手付金を放棄して解除しました。売買契約に併せて別途オプション契約で食器洗い機を申し込んでいるのですが、その代金を支払わなければいけないのでしょうか。 A40 オプションで購入した機器の発注や設置工事の進捗状況、他の購入者等への汎用性等によると思われますが、交渉の余地はあると思われます。売主業者とよく話し合ってみましょう。
Q41 父親が娘の私のために、父親の名義で未完成のマンションの1室を購入し、全代金の20%に当たる手付けを既に支払い済みです。父親は高齢のため万一のことも考えて(相続人となるのは私以外に兄と弟がいます)、引渡しを受けていない未完成の状態のまま、さらに代金(中間金)を売主業者に払うつもりのようですが、何か問題があるでしょうか。既に払った手付けはきちんと保全されているようです。 A41 未完成の状態であっても、中間金を支払うことについては特段の問題はありませんが、手付金と同様きちんと保全措置がとられることを確認することが大切です。また、買主に万一のことがあった場合には、財産は相続されることになりますが、それに備えておくには遺言に関することなどについて、法律の専門家等に相談すべきでしょう。
Q42 先日、不動産を購入しましたが、媒介(仲介)業者から媒介手数料は宅建業法で代金の3%プラス6万円と定められていると言われ請求されました。本当なのでしょうか A42 宅建業者が依頼者から受け取ることができる媒介報酬の額は、宅建業法の規定に基づき、国土交通大臣が定める告示により、以下の表の合計額が上限として定められています。
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売買代金 |
媒介報酬額 |
| 200万円以下の部分 |
5.25%以内の額 |
| 200万円を超え400万円以下の部分 |
4.2%以内の額 |
| 400万円を超える部分 |
3.15%以内の額 |
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取引額が400万円を超えるときは、「(消費税抜きの売買代金×3%+6万円)×1.05」で簡易計算することができ、実務ではこの簡易計算による方法が用いられています。以上の方法で求められるのは上限額であり、実際に支払う媒介手数料は、その範囲内で、媒介業者との話合いで決めることになります(媒介契約締結のときに約定します)。 Q43 先日、マンションの売買契約を締結し、手付金を支払いましたが、自己都合により手付放棄による解約をしました。ところが、媒介(仲介)業者から媒介手数料の残金半額を請求されています。業者には契約を締結しただけで媒介手数料全額を請求する権利があるのでしょうか。 A43 売買契約が成立した場合には、その後、専ら契約の当事者間の問題でその契約が解約になったとしても、媒介業者の報酬請求権は失われないと解されています。したがって、媒介業者は、媒介手数料の残額を請求することができることになりますが、媒介報酬の請求について争いになると、裁判所は、手付解除により契約が解除されたことで、当初予定していた取引が完了せず、媒介業者の媒介業務の量が軽減されたこと等を理由として報酬全額の請求までは認めないことが多いようです。まず、媒介業者と話し合ってみましょう。
Q44 40年前甲県内の雑木林100坪を買い、放置してきました。「その土地を坪5万円で買うという人がいる。売ってあげるが、整地費に坪1万円+消費税で105万円必要だから、まずそれを支払え」と、不動産会社から電話してきました。他人が買ってくれるなら、価格は坪5万円にこだわりませんが、大丈夫でしょうか。 A44 業者が遠隔地の不動産の買取や売買斡旋をするといって造成工事費用や測量代金を騙し取る商法があり注意が必要です。たとえそういう可能性があっても構わないから、というのであれば、相手の不動産会社の免許や実績等を確認し、媒介契約を必ず締結するとともに、整地に関する請負契約を締結し、工事の完了を待って最終請負金を支払うようにされるのが賢明だと思います。 Ⅱ アパート・マンション等の賃貸借に関するもの 【その1 原状回復、敷金の返還をめぐるトラブル】 Q45 アパートを借りていますが、今度退去します。敷金を返してもらえますか。「ガイドライン」というものがあると聞きました。 何かの役に立つのでしょうか。 A45 賃貸借契約が終了した場合、敷金から賃料の未払分や原状回復費用を差し引いた残額が、退去後、大家さんから借主に返還されます。 ここで問題となるのが、借主がどの範囲まで原状回復義務を負い、その費用を負担するのかということですが、 大家さんと借主の間でトラブルになるケースも多いことから、国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(平成10年3月)」で、 原状回復の費用負担のあり方について妥当と考えられる一般的な基準を示しています。このガイドラインは、 法的強制力があるというものではありませんが、多くの裁判で、これに沿った敷金返還等の判決がみられます。 Q46 「東京ルール」という言葉を聞きましたが、何のことですか? 私は今度都内でアパートを借りるつもりですが、 何か影響がありますか? A46 「東京ルール」とは、本来、東京都における賃貸住宅の紛争防止のための施策全般のことをいいますが、 一般には、平成16年10月に施行された「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」(賃貸住宅紛争防止条例)のことを指しています。 この条例では、宅建業者が借主に書面を交付し、退去時の原状回復と入居中の修繕について、 費用負担の伴う「法律上の原則」や「判例により定着した考え方」などを説明することを義務付けています。なお、この条例は、 宅建業者が媒介(仲介)・代理を行う東京都内にある居住用の賃貸住宅に適用されます。
Q47 アパートを退去した時に敷金が殆ど返ってきませんでした。私は喫煙者なのですが、そのためでしょうか? A47 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「喫煙自体は、用法違反、善管注意義務違反にあたらず、 クリーニングで除去できる程度のヤニについては、通常の損耗の範囲である、ただし、通常のクリーニングでは除去できない程度のヤニは、 通常損耗とはいえないので、その場合のクロスの張替え費用等は賃借人が負担すべきものと考えられる」としています。そして、 クロス張替えの場合、毀損部分を含む一面分の張替費用について、 経過年数を考慮した残存価値相当額を借主の負担とするのが妥当との考え方を示しています。
Q48 アパートを退去するにあたって、宅建業者から「畳の交換とハウスクリーニングは借主の負担です。 契約書にも書いてあります。」と言われました。契約書をよく読んでいなかったのですが、判を押した以上、こちらの負担になるのでしょうか? A48 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、賃貸借契約については、強行法規に反しないものであれば、 特約を設けることは契約自由の原則から認められるが、経年変化や通常損耗に対する修繕義務等を賃借人に負担させる特約は、 賃借人に法律上、社会通念上の義務とは別個の新たな義務を課すことになるため、1,特約の必要性があり、かつ、暴利でないなどの客観的、 合理的理由が存在すること、2.賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること、 3.賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていることという要件を満たしていなければ、 その効力を争われることに十分留意すべきであることを示しています。特約の内容をよく見直した上で、宅建業者や大家さんと交渉してみましょう。
Q49 事務所ビルを貸していますが、テナントが退去することになり、原状回復を求めたところ、 「通常損耗だから負担しない」と言われました。相手方の言い分が正しいのでしょうか? A49 居住用の建物の賃貸借については、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で、原状回復は「賃借人の居住、 使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・ 毀損を復旧すること」と定義されていますが、事務所ビル等の事業用の建物の賃貸借に関しては、裁判例で「オフィスビルの場合、通常損耗を含めた原状回復費用を賃借人の負担とすることは経済的合理性があり、原状回復条項に基づき、賃借人には通常の使用による損耗、汚損も除去し原状回復する義務がある」とするもの(東京高判平成12年12月27日)、「賃借人は本件貸室内の物品等一切を搬出し、賃借人の設置した内装造作諸設備を撤去し、本件貸室を原状に修復して賃貸人に明け渡すとする条項は、通常損耗分についてまで賃借人に原状回復義務を認める特約を定めたものと解することはできない」とするもの(大阪高判平成18年5月23日)などがあります。 Q50 マンションの大家なのですが、媒介(仲介)業者が契約時に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の写しを借主に交付しています。自分はガイドラインの考え方の一部に納得できないところがあるので、それをやめてほしいのですが、そうすると仲介をしないといわれました。どうすればよいのでしょうか A50 原状回復について、借主に特別な負担を課すような特約を設ける場合には、その旨を明確に契約書面に定めたうえで、借主の十分な認識と了解をもって契約することが必要です。その不備でトラブルとなることが多いことから、媒介業者はトラブル予防のためにガイドラインの写しを交付しているのだと思われます。相談者は東京都以外でマンションを貸しておられるようですが、もし東京都内の物件だった場合、媒介業者には条例による説明の責務があります。
Q51 賃貸の媒介と管理をしています。貸主がマンションを売り、新貸主は契約書は従来のまま、入居者に「自分が新貸主」と通知しました。借主が1年半で退去しましたが、新貸主は敷金不返還といいます。その部屋は入居の時からきれいではない状態でそのまま貸し、退去時にはそれ以外に特に汚損はありませんでした。借主は敷金を全額返せと言い、私も新貸主にそう伝えました。借主に「ガイドラインに沿って貸主を訴えたら?」と言ってもいいでしょうか。 A51 敷金の返還義務は当然に新貸主(新所有者)が引き継ぐことになりますが、新貸主が敷金不返還と主張している原因について確認(敷金の承継についての不知や原状回復費用に対する知識不足など)をしたうえ、原因が原状回復によるものであれば、当初からの経緯を知っており、かつ管理業務を受託している業者として十分な説明(賃貸した当初の状況、ガイドラインの趣旨・内容ならびにこの種の裁判例の傾向など)を新貸主に対して行いご理解を得てください。管理業務を受託している立場で、借主に対して裁判を勧めるようなことは慎むべきでしょう。
Q52 所有するマンションの賃貸の媒介(仲介)と管理を不動産会社に任せています。借主が退去する際、その不動産会社は厳しくチェックせずに借主の原状回復負担分を決め、さらにお金のかかる修復工事もして困っています。どうすればよいでしょうか。 A52 いずれも賃貸の媒介(仲介)という宅建業法の問題ではありませんが、借主の原状回復への不満と、不動産会社の修復費用支出要求への不満とに、分けて考えたほうがよいでしょう。
原状回復のガイドラインによっても、借主は過失等で壊した部分について原状回復義務がありますが、不動産会社の原状回復義務分の認定行為は、借主にすればオーナーがしているのと同じです。その認定が甘いと思うなら、不動産会社に改めるよう指示すること、委託をやめご自分で認定と交渉をすること、別の会社に頼むこと、のいずれも可能です。その結果、今より厳しい認定となっても構いませんが、借主は、負担過大=返還過小、と思えば、オーナーへ敷金返還を請求するでしょうし、その場合、裁判の可能性もあります。
借主の原状回復負担以外の工事は、資産維持のための出費として、不動産会社はそれをしないと次の借主を見つけにくくなると言っていると思います。上と同じですが、指示に従わない不動産会社は解任できます。
いずれの場合も、管理をしなくなった不動産会社が媒介を引き続きするかどうかはまた別の問題です。
【その2 賃貸借契約等に係る問題】 Q53 不動産の契約では、売主側から解約する時には買主の入れた手付けを倍返しと聞きます。私は家賃月10万円のマンションを借りるにあたり、5万円を手付けとして支払い賃貸借契約を締結しました。貸主が貸さないことにしたとして5万円返してきました。10万円ではないのでしょうか。 A53 不動産売買においては手付金が授受されて契約が締結されることが一般的ですが、居住用の賃貸借では、手付金が授受されて契約を締結することは少なく、契約の前に物件を押さえておくなどの目的で、「申込金等」が授受されています。
「手付金」と「申込金」とでは、法的性格がまったく異なります。「申込金」については、「住宅賃貸借(借家)契約の手引」の8頁を参照して下さい。
ご質問のように、手付金が授受されて賃貸借契約が締結されたのであれば、借主が「履行に着手」するまでは、貸主は受領した手付金の倍額を支払って契約を解除することができます。手付金が5万円ですから、手付解除するのであれば、貸主は10万円を支払う必要があります。 Q54 アパートの賃貸借契約を結び、まず内金として5万円を支払い、そのあと前家賃・敷金・礼金等で25万円、計30万円を貸主に支払いました。設備等で壊れている箇所を入居前に修繕する約束になっていますが、やってくれません。契約を解除するつもりです。支払金30万円は全額返してもらえるのでしょうか。 A54 入居前に賃貸物件の不具合箇所を修繕して引き渡すことを約束して、賃貸借契約を締結したにもかかわらず、貸主が修繕をしないことは、賃貸借契約に基づく責務不履行といえます。したがって、約束した期日までに修繕工事が行われず、借主が入居できず契約の目的を達成することができないのであれば、契約を解除することができ、30万円の返還は当然のこと、それにより損害を被ったのであればその損害についても損害賠償請求することが可能といえます Q55 賃貸住宅に入居するので、連帯保証人を立てましたが、家賃保証にも加入するように言われ、保証会社に保証料を支払いました。不当ではないのでしょうか。 A55 賃貸借契約において借主が家賃を滞納した場合など、その家賃の支払義務等借主の債務を連帯して負担するため、連帯保証人を立てることが行われています。ご質問ではさらに、保証会社との保証契約を要請されたとのことですが、そのこと自体が不当であるとは言えないと思います。
最近ではなかなか連帯保証人を立てることが難しく、これに代えて保証契約を結ぶ例もあります。貸主としては重ねて家賃保証等を確実にしようとする手法かもしれませんが、もう一度保証契約の必要性について貸主や媒介業者とよく話し、保証会社にも説明を聞いて保証人との違いなどを再確認されてはいかがでしょうか。その上で金額も含め納得ができなければ、保証契約の解約も考えられます。ただし、その場合は賃貸借契約自体も不成立に終わることも予想されますのでよく話し合ってください。
Q56 アパートを借りて2年間が過ぎ、更新することになりました。不動産業者から更新料(こうしんりょう)を1か月分払えと言われましたが、どうしても払わなければならないものなのでしょうか。 A56 更新料は、契約の更新の際、契約更新(合意更新)の対価として、借主から大家さんに支払われる金銭ですが、特約でその旨定められている場合を除いて、更新の際に当然に支払わなければならないものではありません。当初の契約で更新料に関する取り決めがあったかどうか確認してください。また、特約等で取り決めがあっても、法定更新の場合には、特約を有効なものと考え更新料の支払いを認めた判例がある一方で、特約は合意更新を前提としたものなので更新料を支払う必要はないとした判例もあるなど、裁判所の判断も分かれているのが現状です。 Q57 アパートを借りて2年間が過ぎ、更新することになりました。 不動産業者から更新料とあわせて更新手数料(こうしんてすうりょう)1か月分を払えと言われましたが、 どうしても払わなければならないものなのでしょうか? A57 契約更新(合意更新)の際に、更新料とは別に関与する不動産業者から、 更新手続きにかかる労務報酬として手数料を請求されることがありますが、一般には、 不動産業者は大家さんから委託を受けて更新事務を行うものですから、その手数料は大家さんが負担すべきものです。ただし、借主が、 大家さんとの交渉や更新事務を不動産業者に依頼した場合などでは、費用負担が発生する場合があります。
Q58 入居しているアパートが競売になり、落札されました。新しい貸主は、「敷金は引き継いでいない、原状回復をした上で出て行って欲しい」と言っています。どうすればいいでしょうか。 A58 抵当権設定登記がされている建物を借り、その建物が落札された場合、①平成16年4月1日以降にその賃貸借契約を締結した場合は、原則として新しい所有者(競落人)に賃借権が主張できず、退去を求められれば6か月以内に、必要な原状回復を行って明け渡さなければなりません。また、敷金も新所有者には継承されないことになります。②平成16年3月31日までに賃貸借契約を締結した場合(更新した場合を含みます)は、契約期間が3年以内の短期賃貸借であれば、競落後であってもその契約期間が満了するまでは住むことができ、敷金の返還も新所有者に請求することができます。
ただし、差押(競売開始決定)後に、賃貸借契約や更新契約をした場合には、①②にかかわらず、競落(買受)人に賃借権を主張することはできませんので、新所有権から立退きを求められたら明渡しを拒むことはできません。
Q59 店舗用にビルを借りました。貸主にシャワーを設置する許可を求めたところ、貸主が自分の費用で設置してくれました。2年間の契約でしたが、2か月で退去すると言ったら、貸主は、シャワーの設置費用は敷金から引くと言っています。それは許されるのでしょうか。 A59 シャワーを設置することについて、貸主・借主間でどのような取決め(合意)がなされたのでしょうか。原則は、その取決めに従って処理されることになります。
一般には、シャワーの設置により賃貸物件の価値は上がると考えられますので、何の取決めもなく、貸主が自分の負担でシャワーを設置したのであれば、その費用を借主に請求することはできないと思われます。
Q60 これまでは勤めている会社が大家さんと契約してアパートを借り、そこに住んでいましたが、今度、 会社を退職することとなり、私自身が借主となることになりました。この場合に、新規契約として新たに敷金や礼金を払えと言われましたが、 そうしなければならないものでしょうか? A60 賃借人が変わり新たな賃貸借契約を締結することになりますので、新規の契約内容に基づいて、 敷金や礼金が発生することになると思われますが、大家さんと十分に話しあって金額等を決めてください。
Q61 入居してから1か月が経ちますが、実は自分が今借りている部屋は、3年前に前の入居者が自殺した部屋らしいと聞きました。気持ちが悪いので出たいと思いますが、払った礼金や引越し代くらいは大家さんから出してもらうことができるでしょうか。 A61 大家さんや媒介(仲介)業者に、まず事実を確認してください。もし事実であれば、入居の意思決定に重要な影響を及ぼす事項が説明されず、いわゆる心理的瑕疵の存在を知らずに入居してしまったのですから、大家さんや媒介業者に対する責任追求は可能でしょう。
Q62 アパートに住んでいます。異常に大きな音でテレビやステレオを聞く隣人がいます。 注意しても聞いてくれないので、出たいと思いますが、払った礼金や引越し代くらいは大家さんから出してもらうことができるでしょうか。 A62 騒音の問題は明確な基準がなく、解決が難しいのですが、大家さんには入居者に対して良好な環境の賃貸物件を提供する義務がありますから、 そのような行為が何度も繰り返される場合には、まず管理会社を通すなどで、大家さんに相談してみてください。大家さんが放置している場合には、 契約を解除し損害賠償を請求できる余地があると考えられます。
Q63 マンションを借りていたのに、物件が競売されてしまいました。 そういう物件だと教えてくれなかった媒介(仲介)業者に引越し代を請求することができますか。 A63 媒介業者が、重要事項説明で、 建物に抵当権が設定されていることや競売による差押え登記がされていることを書面により説明しなかった場合は、 媒介業者に対して重要事項説明義務違反を追及できます。
借家への入居に当たっては、物件の権利の登記についても十分に説明を受け、 特に競売の開始決定がなされているもの(裁判所による差押えの登記がされているもの)については、契約を避けるべきでしょう。 Q64 もうじきアパートの契約期限が切れます。私は更新して住み続けたいのですが、 大家さんからは立ち退くように言われています。大家さんには別に家があります。これまで7年の間、 家賃の支払いが3回くらい遅れたことはありますが、今は特に滞納はありません。引き続き住むことはできますか。 A64 借地借家法によれば、通常の借家契約では、大家さんが更新を拒絶しようとする場合は、正当事由が必要とされ、 「賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情」、「賃貸借に関する従前の経過」、 「建物の利用状況」など具体的な判断基準が明示されています。詳しい事情はわかりませんが、大家さんには別に家があり、 自ら入居しようということではなさそうですので、ひどく老朽化したので建て替えざるを得ないなど、ほかに特段の事情がなければ、 正当事由はないと思われます。
また、過去7年間に3回程度の家賃の滞納があっても、現在滞納がなければ、契約の解除事由には当たりませんので、今後もアパートに住み続けることは可能と思われます。 Q65 契約期間中なのですが、都合があって退去したいと考えています、契約書には「契約期間中の解約は、 相当の期間をおいて申し出ること」とされています。退去の申し入れはどのくらい前にしなければいけないのでしょうか。 A65 旧建設省が作成した賃貸住宅標準契約書では、解約予告期間について、「少なくとも30日前に解約の申入れを行うことにより、 本契約を解除することができる」旨の定めがありますが、一般には解約申入れの期間を1か月程度としていることが多いようです。 標準契約書に倣って、大家さんと話してみてはいかがでしょうか。
Q66 不動産業者が貸主になっているアパートを借りています。契約書に手書きで「借主は2年間退去できない」とありますが、1年前の入居時には気づきませんでした。数ヶ月後に退去する可能性があります。残りの期間の家賃も払わなくてはならないのですか。 A66 残りの期間の家賃(違約金)については、その金額が暴利行為といえる場合にはその全部又は一部が無効になると解されており、裁判例では賃料の1年分を超える部分の違約金を無効と判断したものがあります。
Q67 家賃を3カ月滞納してしまい、大家さんから退去の通告をされました。確かに契約違反をしているわけですが、即退去しなければならないのでしょうか A67 借主の契約違反などにより、大家さんとの間の信頼関係が破壊された場合には、賃貸借契約は解除されることになりますが、家賃の不払いの場合、信頼関係が破壊されたか否かは、単に滞納の回数だけでなく、滞納に至る事情、従前の支払状況等により総合的に判断されることになっています。ただし、3カ月以上の滞納がある場合は、それだけでも契約解除事由とされることもあり得ますので、先ずは延滞分の解消策等について、誠意をもって大家さんと話し合ってみましょう。
Q68 私がアパートの家賃を滞納していることを、管理業者が私の断りなしに勤務先の上司に告げました。そのことで、私の会社内での立場が悪くなり退職せざるを得なくなってしまいました。この業者の行為は個人情報保護法違反であるとして、損害賠償請求ができますか。 A68 個人情報保護法は、個人情報を第三者に提供する場合、原則として本人の合意が必要であると規定しています(オプトアウトの措置を講じている場合は、本人の同意はいりません)。個人情報取扱事業者が個人情報保護法に違反したときは、一定の罰則を受けることになります。また、民法上、不法行為責任を問える(損害賠償請求できる)可能性もありますが、具体的には弁護士等の法律の専門家に相談してください。
なお、勤務先の上司が、あなたの連帯保証人であるなどの特別な事情があるときには、管理業者が滞納について告げたことが、直ちに法令違反とはいえない場合もあります。
Q69 私が借りているアパートの家賃を3月分滞納したら、大家さんが怒って、私の不在時に家財道具をアパートの前に出し、鍵を交換して、私が部屋に入れなくなるようにしました。今の鍵を壊して自分の部屋に戻ってもいいでしょうか。 A69 自力救済(自分の力で権利の行使を図ること)は、よほど特別な事情がある場合を除いては禁止されており、大家さんの行為は許されるものではありません。だからといって、鍵を壊して部屋に戻ることも認められません。
賃貸借契約は、貸主と借主の信頼関係によって成り立っているものです。滞納分の支払いについて誠意を持って話し合い、鍵は直ちに開けてもらってください。
Q70 今のマンションに十数年住んでいますが、同じタイプの部屋に後から入居した人より割高の家賃を支払っている状況です。家賃の変更は請求できるのでしょうか?また、交渉がまとまらない場合、何か良い手続きや方法はありますか A70 入居時の家賃は世間相場により上下するのが普通です。既に入居していた方の家賃は、上がるにしても下がるにしても変化が穏やかなことが多く、このような事態もおこりがちです。借主や大家さんは、①固定資産税等の負担の増減、②土地建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動、③近傍同種の建物賃料との比較等により、家賃の額が不相当になったときには、相手方に対して、家賃の減額または増額を請求することができます。大家さんとの話がまとまらない場合には、調停を申し立てることになります。調停でも話がつかなければ、訴訟を起こすことになります。
なお、家賃の増額・減額請求は必ずしも、契約の更新時でなければできないものではありません。
Q71 貸主と賃料値下げについて交渉中ですが、応じてもらえません。減額した賃料を貸主が受取らないときは供託しておくことができますか。 A71 借主は賃料が高いと思っても、勝手に減額することはできませんので、これまでどおりの賃料を支払う必要があります。契約で約束した賃料の額を支払わない場合は、契約違反 (債務不履行)になりますので注意が必要です。
貸主が応じない場合は、まず調停を行い、調停でもまとまらないときは、賃料減額請求の裁判を起こすことになります。その裁判で減額を認める判決が出て(確定して)初めて減額が認められることになります。貸主からの賃料の増額請求があった場合、貸主が賃料を受取らないときは、借主は調停若しくは裁判が確定するまでは借主が相当と考える賃料(一般には現行賃料)を供託することができます(借地借家法32条2項)。
Q72 アパートを借りて住んでいますが、結露がひどくて困っています。たんすや衣類がカビで汚れてしまいました。 建物に原因があると思うのですが、どうしたらよいでしょうか。 A72 結露の原因の1つに換気不足があります。結露を予防するためには、1.換気口をあけ台所換気扇をまわす 2.窓ガラスの水滴をこまめにふき取る 3.壁と家具の間をできるだけあける 4.やかん・加湿器等の使用を控える等の対応が必要です。 これらをしっかりやっていても結露がひどい場合には、建物の断熱性能等に問題がある場合も考えられるので大家さんに相談してみてください。 Q73 息子がアパートを借りることになり、親である私が連帯保証人になるのですが、 媒介(仲介)業者から「連帯保証人の印鑑証明と収入証明を出してほしい」と言われました。応じなければいけないものでしょうか。 A73 大家さんや媒介業者としては、連帯保証人の本人確認や、万一家賃を滞納した場合などに支払能力があるかどうかを確認するために、 このような要求をする場合もあります。原本を渡してしまうのは不安であるなら、 「見せるだけにしてほしい」「原本確認後コピーをとり原本は返してほしい」のように交渉してみてはどうでしょうか。
Q74 借地人です。地主は土地を10件以上貸しています。最近、更新料を払えと言われました。額の根拠がわからないので、借地人を集めて説明してくださいと言いました。借地人の一人が無料法律相談に行き、地価の○%が相場と聞きましたが、地主のいう金額とは開きがあります。どうすればよいのでしょうか。 A74 土地などの賃貸借契約を更新する際、借主から貸主に支払われる一時金のことを更新料といいますが、借地契約の期間が満了しても、貸主に正当な事由がなければ契約の更新を拒否して土地の返還を求めることはできせん。このため、貸主の要求により更新料が支払われる場合があります。東京などの大都市圏ではそれが慣行化しているとも言われていますが、あまりはっきりしたものではないようです。
当初の契約の際に更新料の支払について合意があり、契約書に明記してある場合は、賃借人に一方的に不利益を与える事情がない限り支払う義務がありますが、単に更新時期に要求されたのであれば、必ずしも支払う義務があるとはいえません。
更新料の額については、過去の裁判例(東京地判昭49.1.26)で借地権価格(更地価格の70%)の3%前後が相当と判示したものがありますが、実際には個別のケースで違っているようです。以上のこともご参考に貸主と話し合ってはいかがでしょうか。 |